研究概要

研究概要

当講座の研究“素材“は、メラノサイト(色素細胞)です。メラノサイトを多面的に解析することにより、
多くの病態が研究対象となっています。具体的には、下記のようなプロジェクトがあり、現在進行しております。

眼皮膚白皮症をはじめとする各種先天性色素異常症の遺伝子診断と病態解明

2007年以降、既に全国から依頼された症例を合わせて200例以上を解析してきました。そのうちのいくつかの病態については遺伝子改変マウスモデルを作成して、原因遺伝子の機能解析を行ってます。

白斑研究

当教室で新しく樹立した遺伝子改変マウスである日本人皮膚モデルマウス(hk14SCF/HRM)を使用して、ロドデノール誘発性脱色素斑を作成し、白斑の発症過程や色素回復期の分子メカニズムを解析しています。また、本学生化学教室の藤井順逸教授との共同研究により、xCTノックアウトマウスを使用して、白斑形成におけるグルタチオンの役割についても解析中です。

日本人の皮膚色決定に関わる遺伝子の解析

健常日本人における皮膚色の違いを規定している遺伝子のいくつかをこれまでに明らかにし、それらの遺伝子の発癌リスクへの貢献度を解析してきました。現在、スペイン国立生物学研究所のL. Montliu教授と共同研究により、マウスモデルを作成して発癌への関与を詳細に解析中です。

炎症後色素沈着の病態解明と新規治療法の確立

世界的にもユニークな炎症後色素沈着マウスモデルを作成し、その病態解析を行ってきました。
今後は、この実験系を使用して新規治療法の確立に向けて進行中です。

低出力レーザーの皮膚への影響の解析

日本人モデルマウスを使って各種レーザーの皮膚への影響を解析しています。台湾高雄大学のE. Lan教授と共同研究が進行中です。

ここ数年間、毎年、英文発表論文は10編以上あり、着実に成果を発信できるようになってきております。
研究の分野は無理に広げることなく、狭い領域であっても国際的に高く評価される高いレベルの成果発信を心掛けています。
この方針は今後も変わらないです。また、当教室の研究の特徴として、海外からの共同研究のオファーがあり、現在もいくつかの国際プロジェクトが進行しています。
具体的な成果としては、英国マンチェスター大学との研究で、以前よりテーマとして取り組んでいる遺伝性対側性色素異常症の関連研究で、トップジャーナルの1つである Nature Genetics にその成果が掲載されました。
(Rice GI, et al. Mutations in ADAR1 cause Aicardi-Goutières syndrome associated with a type I interferon signature.Nat Genet 44:1243-1248, 2012)

業績

※下記の、各年度の業績をクリックもしくはタップすると閲覧できます。

遺伝性色素異常症の遺伝子検査

当科における遺伝性色素異常症の患者様に対する今後の遺伝子検査について

これまで山形大学で使用していた次世代シークエンサーの利用が中止となり、今後は従来通りの遺伝子検査を継続することが困難となりました。

今後の対応については、以下の通りです:
1. 眼皮膚白皮症の患者様に対する対応
遺伝子検査をご希望される場合は、まずかずさDNA研究所での検査をご検討ください(ヘルマンスキー・パドラック症候群遺伝子検査)。2024年10月時点では保険適用外であり、検査費用は税込¥49,500となります。

2. 検査で診断が確定しなかった場合
当科(担当:岡村 賢、齊藤 亨)までご連絡いただければ、必要に応じて追加の遺伝子解析(エクソーム解析など)を実施いたします*。

3. その他の遺伝性色素異常症の患者様に関する対応
症例ごとに個別対応いたしますが、臨床的に典型例の場合、遺伝子検査を実施しない場合がございます。

4. 臨床診断に関するご相談
臨床診断に関しては、随時ご相談を承ります。

*追加の解析は当科の研究費を使用して行います。従って、患者様に費用のご負担は発生しません。研究レベルでの検査となるため、新たな知見が得られた場合には、当方で学術論文や学会発表で積極的に発表しますので、ご紹介いただいた先生には共著者、あるいは、共同演者になっていただきたいと存じます。患者様には、プライバシーを十分に配慮した上で、科学的目的に限り、臨床情報(写真を含む)を公開させていただく可能性があることをご理解いただきたく存じます。

以上、ご迷惑をおかけしますが、ご理解とご協力を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

山形大学医学部皮膚科学講座

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